Quest

無極
WuJi - The Promise


筆者もようやく、アメリカ版「The Promise」を見ることができました。昨年12月に1週間だけ公開された、Weinsteinが作った「第一次アメリカ版」と、今回ワーナーが作った「第二次アメリカ版」と間にも、少々の違いがあるということです。

私が気が付いた限り、中国版(DVD)とアメリカ版の違いは、下記のようになります。(ネタバレまくりです。もういいですよね。)

1)オープニング:中国版では、字だけで数枚で説明している時代背景を、「ロード・オブ・ザ・リング」の始まりような、昔の地図と登場人物のイラストと「満神」の語りで説明しているのですが、いかにも伝説の世界が始まる、という感じでなかなか素敵です。これは、第一次アメリカ版にもなかったそうで、今回の新しい追加分と聞いています。

2)奴隷が「カンフー・ハッスル」走りをする場面:牛に追われて奴隷が走る場面や、将軍を背負って走る場面は、遠景とアップだけを残し、CGで大袈裟になっている走りの場面をカットしています。

3)将軍と満神の賭けの場面:将軍が森の中で迷ったときに満神と遭遇し、賭けをする場面はカット。将軍の「運命」を予告し、将軍が王妃をものにしようとするきっかけを作る場面ですが、米国版ではお話を王妃の運命に絞るために、「賭け」の話を軽くし、その後木につるされている時に、満神がやってきて賭けの話を再度する際、未来の予告をして、将軍が王妃をものにすると宣言するように変わっています。でも、そのために「桜が散り終えたとき、日と月が一緒に現れるとき・・」という、その後の場面とのつながらないので、このセリフがある場面もすべてカット。

4)将軍の「恋の病」場面:中盤。将軍が、去ろうとする王妃を殺せと奴隷に命じる場面、将軍が王妃の帰りを待って日夜飲んだくれたり、桜の散るのを止めようと囲いをしたり、湖のほとりにたたずんで待ちわびたりしている、恋の病の場面はすべてカットされています。真田さんの一人芝居が多いですが、やや中国風に大袈裟に作っているために違和感がありました。(真田さんご自身も、インタビューで「ちょっとやりすぎだった」と言っておられます。)ここをカットすることで、将軍の心の動きがなくなってしまったワケですが、その後の展開でいくつか(もしかして英語の翻訳だけ付け加えた?)のセリフでそれを示唆するようになっています。ただ、王妃を殺せと命ずる場面がないので、王妃が奴隷に「自分の心の望むことを何か理解しなさい」と言う場面がなく、これもちょっとそのあととのつながりが悪い・・・

5)「黄金の指」の杖:遊び心満載の、公爵の「黄金の指」ですが、ほとんど出てきません。印象的な「親指グー」もなし。冷徹な公爵にあの指はちょっとお笑いで、ややキャラクターが混乱する原因にもなっていたと思いますので、話はすっきりしました。

6)エンディング:最後は、王妃と奴隷が空に飛んでいく場面がなく、「時の壁」を超えたあと、王妃が子供のときの場面に戻ります。予言が何のことだったのか、このほうがはっきりわかって、私は好きでした。

全体に、カイコー監督の野心的というか、遊び心で盛り込んだ、「ぶっ飛んだ」場面やお笑いが抑えられ、戦闘場面が引き立つような感じに作ってあります。(アメリカ人には、中国映画は「武芸映画」にしないと売れない、との認識があるため)真田さんの場面がずいぶんカットされて、アメリカ人のファンは怒っていますが、一方で将軍のキャラは「傲慢」→「傷心」→「人の心に目覚める」とシンプルになり、また勇壮な戦闘場面が印象に残るようになっていて、私の印象としては「そんなに悪くない」と思いました。ちなみに、ファン垂涎の「ラブシーン」は、なぜかすこーしだけカットしてあり、下半身が見えません・・・

[日本語ホーム]
Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.5 License.